稽留流産の手術③
オペ室で目が醒めると、先生が、赤ちゃん見ますか?と。
夫はもう娘のおむかえに向かっていると思っていたので、はい。私だけでも見ます。と。
先生が手にしていた紙を広げると、
3、4センチの小さな赤ちゃんがそこにいました。
この黒いのが目です。だからこちらが頭。
もう、少し溶けかかってしまっていますが。とのこと。
私は、ああ、ほんとにこの小さな子が私の中にいたんだなぁ、と。
ほんとに小さな、私の赤ちゃん。
ありがとうね。と、声をかけると、またぐっと涙がこみあげてきました。
でも、見れてよかった。
これから先に、思い出せる姿があってよかった、と思いました。
なんだか、心にすっと、これからこの気持ちを抱えて生きていくための礎が備わったような気がしました。
夫は、保育室の先生に事情を話して、予定の時間を過ぎてもまだ待ってくれていました。
先生が、手術は無事に終わったこと。そして、小さなケースに入った赤ちゃんを見せてくれた。と。
もう、赤ちゃんの姿を確認することはできなかったと言っていましたが、それでも、夫も赤ちゃんに会えてよかったと思いました。
彼のためにも。
そして、私と彼の心の距離のためにも。
夫と話している時も涙な私でしたが、もう、前に進むための涙に変わっていた気がしていて、それは彼にも伝わっているような気がしました。
看護師さん達に慰められ、主治医に気持ちを聞いてもらったり。
私は、そんな時間が必要だったんだなと思いました。
今夜、ひとりになれてよかったと思いながら、手術の夜が終わりました。